労働基準について

従業員が退職届をだし、競争会社に入社しようとしています。この場合、退職金などの支給制限などをすることはできるのでしょうか。

会社で培った技術やノウハウ、業務特有の情報、願客や取引先の情報などを持つ従業員が、ほかの同業会社に就職することは、会社側にとっても打撃になります。これを受け、大体の会社では、就業規則に競業行為の禁止の規定を置いています。
従業員が在職していれば、使用者の利益に反する競業行為の差し控えの義務がありますが、退職してからの離職先に関しては、憲法での「職業選択の自由」に触れてしまうので、制限することはできません。
労働契約や就業規則などに関連事項の特約を含めたとしても、労働者が在職中にかかわった企業秘密の程度や内容、労働者の地位、制限期間、制限対象となる職種範囲、場所的範囲、代償の有無などからみて適切性がなければ、その効力を失います。
すなわち、競業避止に反したことを事由として、退職金などの支給に制限を置くことは職業規則の定めにかかわらず、不許となる可能性が高いです。しかし、その退職金の支給の制限が妥当であると考えられるような重大背信性がある場合なら、制限が認められる可能性もあります。
この事例のように、退職後の競業避止に要する力は決して少なくありませんが、ルールとして就業規則に関連規定を置いて、従業員に誓約書を提出してもらうことで、一定の抑止の効果は出るかもしれません。

関連記事

  1. 従業員に出した解雇予告は、会社側の意思では取消ができないのでしょ…
  2. 従業員のミスによる解雇は、解雇の分類の中でどちらに含めばいいので…
  3. 従業員が休職期間期限をぎりぎり超えない期間で復職し、また休職の届…
  4. 従業員から退職願を提出されましたが、受理する前に退職願の撤回をし…
  5. 試用期間を置くことを条件として従業員を採用しました。しかしやる気…
  6. けがによる休職後、復職をする従業員から診断書が提出されていません…
  7. 伝染性の病気にかかった従業員に1週間の自宅待機をさせ、自宅待機中…
  8. 育児休業中の従業員を解雇したいと思うのですが、人事担当者から「で…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

おすすめ記事

マイナンバーの利用目的の特定の事例としての源泉徴収票作成事務に、給与支払報告書や退職所得の特別徴収票も含まれますか?

マイナンバー法で、マイナンバーを用いることができる事務は限定的に規定されていますが、統一的な書式や次…

従業員が他の法人に出向又は転籍によって異動した場合、給与所得の源泉徴収票の提出につき、いずれの法人が個人番号関係事務実施者に当たりますか?

マイナンバーを記した源泉徴収票の提出義務者が個人番号関係事務実施者に当たります。源泉徴収票の提出義務…

入社時・源泉徴収票などの作成時・退職時の社員のマイナンバー、支払調書作成時の社員以外のマイナンバーを、それぞれどのように取り扱えばいいでしょうか?

入社時・源泉徴収票などの作成時・退職時の社員のマイナンバー、支払調書作成時の社員以外のマイナンバーに…

Q.年末調整の対象とされる給与について教えてください。

A.年末調整は、その年の最後に給与を払うときまでに「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している一定…

PAGE TOP