休職制度は、従業員の私傷などで労働契約の移行ができなくなったとき、その時すぐ解約を行うのではなく、解雇権行使を一定の期間猶予をし、傷病の回復を待つことです。就業規則などからの規定に基づく休職期間が終わっても復職が不可能であったら、自然退職や解雇になります。
この制度を使用している時、休職の適用をする前の解雇は、解雇権の濫用とみなされがちです。ただし、休職を命じるということは、就労を一時的に免除し、復職を図ることであり、復職の可能性が薄いときにも休職を命じなければならないことではないのです。
過去の裁判例で、休職制度を設けているにも関わらず、休職の前に解雇をした件に対して、「岡田運送事件―2003年4月24日東京地裁:「明白に休職期間満了後も就労不能と認められることから、休職を命じなかったからといって、解雇が労使間の信義則に違反し、社会通念上、客観的に合理性を欠くものとして解雇権の濫用になるとはいえない」こととなっています。休職の期間が過ぎても、客観的に判断して復職ができないケースは、休職の前に解雇しても解雇権の濫用には当てはまりません。
この事例では、主治医から労務不能という診断書が出されていることを受け、休職をさせずに解雇をしても解雇権の濫用にはなりません。
就業規則などの規定の表現が「休職を命じる」などとなっていて誤解を招き、トラブルとなったケースもあります。このような誤解を防ぐために、「会社の判断によって休職を命じることがある」などに表現を変えることがお勧めです。