自己破産自体はあくまでも、その従業員の私生活に含まれるものなので、自己破産だけで懲戒解雇を行うことはできません。しかし、下記の二つのケースなら、解雇が有効になる可能性が高くなります。
1.集金・財務・経理の業務の担当者で、他の職種に配置転換が不可能な場合
類似のケースとして、警備員、司法書士、証券会社の証券外交員、弁護士、背帆の外交員などに対しては、破産の宣告がされたとたん、資格が失われます。
2.取立などが会社に来るなど、自己破産によって業務に差支えが生じた場合
対象者の本人が仕事どころではなくなってしまったり、会社まで催促の訪問などがあるなど、業務に差支えが生じたら懲戒の事由に当てはまります。
しかし、賃金業者が直接会社に取り立ての電話をしたり、会社に訪問することは賃金業法の違反事項なので、その賃金業者にやめるよう伝えても構いません。
下記は、1983年9月30日大蔵省銀行局長通達から書かれた取り立て行為の規則です。
(1)暴力的な態度をとること
(2)大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。
(3)正当な理由もなく、午後9時から午前8時まで、その他不適当な時間帯に、電話・電報で連絡したり、訪問したりすること。
(4)弁護士への委任、調停や訴訟手続きをした旨の通知を受けた後に、借主に直接請求すること。
(5)多人数で押しかけること。
(6)勤務先を訪問し、債務者や保証人の立場が悪くなるような言動をすること。
(7)債務者の借り入れに関する事実その他プライバシーなどに関する事項をあからさまにすること。
(8)ほかの貸金業者から借り入れまたはクレジットカードの使用などによって弁済することを強要すること。
(9)法律上支払い義務のない者に対して支払請求したり、必要以上に取立てへの協力を要求したりすること。
(10)暴力をふるうこと。