育児休業をしていることで業務能力が劣っているという理由は、結局育児休業を使用したことが理由で解雇するという話になります。他の休業をしていない従業員と同等に考慮し、妥当な理由が無い限り、育児休業を取得したことを事由として解雇・その他の不利益な取り扱いを行うことは、育児・解雇休業法第10条・男女雇用機会均等法第9条4項にもとづいて不可能であると定められています。
客観的で妥当な基準として出勤率、再就職の可能性、勤続年数などを作成することが大事です。
*上記の「解雇その他不利益な取扱い」の典型は、下記のようになります。
1.解雇すること。
2.期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3.あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4.退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5.不利益な自宅待機を命ずること。
6.降格させること。
7.減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
8.昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
9.不利益な配置の変更を行うこと。
10.就業環境を害すること。
11.派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。
*育児・介護休業法(不利益取扱いの禁止)
第10条:事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
*男女雇用機会均等法(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第9条
(1)事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
(2)事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
(3)事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(4)妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。