懲戒解雇の事由に当てはまる重大な違反が見つかった時は、その調査・職場秩序維持を目的として対象の従業員に対して一定の期間に自宅待機をさせるケースがあります。この場合、トラブルになりやすいのは、自宅待機の期間中の給料の支払いの有無です。
従業員の過失に対する罰として行われる自宅待機の場合、給料の支払いはしなくても構いません。これを懲戒処分としての出勤停止と言い、一定の期間の出勤をさせないことで「自宅謹慎」とも言います。出勤が停止され業務に従事していないことから、従事に対して支払う給与も支給しなくていいものになります。これは就業規則の懲戒の定めに従って行えます。
一方、従業員の過失を調査するための自宅待機の場合、休業手当の支払いが必要となります。まだ処分が決まったわけではないことから、懲戒処分の「二重処分の禁止」にかかってしまいます。一つの事案に対して二回の処分を下すことは不可能であることが原則になっています。
しかし、不正行為の証拠隠蔽や再発の恐れ等の妥当で緊急な事由があれば、無給にすることもできます。就業規則などに「懲戒解雇の事由に当たる違反行為が発生した時の自宅待機期間内の給与は、支払わないことを原則とする」と、詳しく定めておくことが必要です。