A.所得税法においては、特定の所得の支払時に支払者が所得税を徴収して納めなければならない旨が規定されていて、これを源泉徴収制度と呼びます。 源泉徴収義務者というのは、所得税を源泉徴収して国に納付しなければならない者のことです。源泉徴収しなければならない特定の所得の具体例として、給与や税理士報酬が挙げられます。
なお、「扶養控除等申告書」の提出を行い、かつ、給与等の金額が2,000万円以下である者については、その年の最後の給与等の支払いを行うに当たって年末調整をしなければなりません。
税務署において、源泉徴収を行うのに必要となる「源泉徴収のあらまし」、「源泉徴収税額表」、「源泉徴収簿」、「年末調整のしかた」、「扶養控除等申告書」といったものが、準備されています。
1.給与支払事務所等の開設届出書の提出
事業主が、使用人に給与を払うことになったか青色事業専従者給与を払うこととなったら、届出をしなければなりません。
給与支払事務所等の開設届出書を、開設等を行った日より1ヶ月以内に提出する必要があります。給与の支払事務を担う事務所等の所在地を所轄する税務署長に対して、この届出書を提出します。
ちなみに、提出済みの個人事業の開業届に給料を払っていることを記しているのであれば、この届出書の提出は不要です。
2.源泉徴収を行う税額の確認
「給与所得の源泉徴収税額表」により、賞与以外の給料や賃金等の支払時に源泉徴収を行う税額を確認します。
平成25年1月1日より平成49年12月31日までに発生する所得に関しては、源泉所得税の徴収時に、復興特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額に2.1%の税率を乗じて算出します)も徴収し、源泉所得税と復興特別所得税を納めることになっています。したがって、平成25年分以後の「源泉徴収税額表」の税額は、復興特別所得税相当額も含まれたものになっています。
上記の税額表には、月額表と日額表が存在します。給与の支給区分によって用いる税額表が定められ、また、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」といいます)の提出の有無によって税額表の用いる欄が違ってきます。仮に、給料が月払いであって事業主に「扶養控除等申告書」を提出している者であるとすると、源泉徴収税額を確認するのに月額表の甲欄を用いることとなります。未提出である者であるとすると、月額表の乙欄を用います。
ちなみに、賞与に対する源泉徴収税額は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて確認するのが通常であるものの、月額表を用いることもあります。
3.源泉徴収を行った所得税と復興特別所得税の納付
源泉徴収を行った所得税と復興特別所得税は、給与を払った月の翌月10日までに納付書を添付した上で国に納めることになっています。納付書を記す際には、氏名や住所、税務署より通知された整理番号等の記入漏れがないように留意する必要があります。納付時には、所得税と復興特別所得税の金額を分けずに、所得税と復興特別所得税を合算した額を納付書に記した上で納めることとなります。
給与の支給人員が常時10人未満であれば、特例の適用を受けることにより、源泉徴収を行った所得税と復興特別所得税の納期を毎月ではなく、7月と翌年の1月の年2回とすることができます。給与、退職手当、税理士等の報酬や料金につき源泉徴収を行った所得税と復興特別所得税についてのみ、この特例の適用を受けることができます。この特例の適用を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、給与の支払事務を担う事務所等の所在地を所轄する税務署長に対して提出する必要があります。