マイナンバー「いつから?」

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書や不動産使用料等の支払調書について、いつからマイナンバーを記す必要があるでしょうか?

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書や不動産使用料等の支払調書については、平成28年1月以降の支払いに係る支払調書より、すなわち平成29年1月提出分より、マイナンバーの記載が求められています。

1.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書について、そのポイントは次のとおりです。
○平成28 年分以降の支払調書より、支払者の法人番号又はマイナンバーを記して提出します。
○支払を受ける者の法人番号又はマイナンバーを記します(12 桁のマイナンバーを記すのであれば、最初の1マスを空けて、右詰めで記します)。
○支払者は、支払調書を作成する前までに支払いを受ける者の法人番号又はマイナンバーの提供を受けなければなりません。マイナンバーの提供を受けるのであれば、マイナンバーカード等で本人確認をしなければなりません。
○提出者(支払者)が個人であれば、マイナンバー法に規定する本人確認のために、提出者本人のマイナンバーカードの写し、提出者本人の通知カードの写し及び写真付身分証明書(免許証など)の写しのいずれかを添付する必要があります。一方、提出者(支払者)が法人であれば、このような書類を添付する必要はありません。
○支払いを受ける者に支払調書の写しを交付する場合、マイナンバー法の定めによって、支払いを受ける者及び支払者のマイナンバーを記すことはできません。

平成27年12月 国税庁「国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点」を基に作成

 また、国税庁ホームページ「税について調べる タックスアンサー(よくある税の質問) No.7431」には、「平成27年4月1日現在法令等」として、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲についておおむね次のように記されています。
 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を提出する必要があるのは、外交員報酬、税理士報酬など所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に定められている報酬、料金、契約金及び賞金の支払いをする者です。
 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲は、次のとおりです。
○馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払いを受けた者に係るその年中の全ての支払金額
○外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
○社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
○弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
○プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
消費税及び地方消費税の額を含めて提出範囲の金額の判断を行うものの、消費税及び地方消費税の額が明確に区分されているのであれば、その額を含めずに判断を行っても構いません。
 なお、法人(人格のない社団等を含む)に支払われる報酬・料金等で源泉徴収の対象とならないものや支払金額が源泉徴収の限度額以下であるため源泉徴収を行っていない報酬、料金等についても、支払調書の提出範囲に当たるならば支払調書を提出しなければなりません。

 上記のことから、講演料などの報酬につき同一人に対するその年中の支払金額が合計5万円以下であれば、支払調書の提出義務を負わないといえます。マイナンバーの保管数をできるだけ少なくし、漏えいのリスクを軽減するため、同一人に対するその年中の支払金額が合計5万円以下であれば、支払調書の作成を行わないのが賢明でしょう。

2.不動産の使用料等の支払調書
 不動産の使用料等の支払調書について、そのポイントは次のとおりです。
○平成28年分以降の支払調書より、支払者の法人番号又はマイナンバーを記して提出します。
○支払を受ける者やあっせんを行った者(あっせんに係る支払いも記す場合)の法人番号又はマイナンバーを記します(12桁のマイナンバーを記すのであれば、最初の1マスを空けて、右詰めで記します)。
○支払者は、支払調書を作成する前までに支払いを受ける者の法人番号又はマイナンバーの提供を受けなければなりません。マイナンバーの提供を受けるのであれば、マイナンバーカード等で本人確認をしなければなりません。
○提出者(支払者)が個人であれば、マイナンバー法に規定する本人確認のために、提出者本人のマイナンバーカードの写し、提出者本人の通知カードの写し及び写真付身分証明書(免許証など)の写しのいずれかを添付する必要があります。一方、提出(支払者)が法人であれば、このような書類を添付する必要はありません。
○支払いを受ける者に支払調書の写しを交付する場合、マイナンバー法の定めによって、支払いを受ける者及び支払者のマイナンバーを記すことはできません。

平成27年12月 国税庁「国税分野における社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点」を基に作成

また、国税庁ホームページ「税について調べる タックスアンサー(よくある税の質問) No.7441」には、「平成27年4月1日現在法令等」として、不動産の使用料等の支払調書の提出範囲についておおむね次のように記されています。
不動産の使用料等の支払調書を提出する必要があるのは、不動産・不動産の上に存する権利・船舶(総トン数20トン以上のみ)・航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価の支払いをする法人と不動産業者である個人です。
 ただし、不動産業者である個人のうち、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる者は、提出義務を負いません。
不動産の使用料等の支払調書の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超えるものですが、法人に支払う不動産の使用料等については、権利金、更新料等だけを提出します。したがって、法人に対して、家賃や賃借料だけを支払っているならば、支払調書の提出は不要です。
 消費税及び地方消費税の額を含めて提出範囲の金額の判断を行うものの、消費税及び地方消費税の額が明確に区分されているのであれば、その額を含めずに判断を行っても構いません。
 なお、不動産の使用料等には、土地・建物の賃借料の他に、次のようなものも含まれます。
○地上権・地役権の設定又は不動産の賃借に伴って支払われる、いわゆる権利金・礼金
○契約期間の満了又は借地の上にある建物の増改築に伴って支払われる、いわゆる更新料・承諾料
○借地権や借家権を譲り受けた場合に地主や家主に支払われるいわゆる名義書換料
 また、催物の会場を賃借する場合のような一時的な賃借料、陳列ケースの賃借料、広告等のための塀や壁面といった土地・建物の一部を使用する場合の賃借料についても、支払調書を提出しなければなりません。

上記のとおり、不動産業者である個人のうち、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる者は、支払調書の提出義務を負いません。また、個人の大家・地主に支払う家賃などについては、同一人に対するその年中の支払い金額が合計15万円以下であれば、提出義務を負いません。マイナンバーの保管数をできるだけ少なくし、漏えいのリスクを軽減するため、同一人に対するその年中の支払金額が合計15万円以下であれば、支払調書の作成を行わないのが賢明でしょう。

3.提出不要な支払調書の提出
個人情報保護委員会ホームページ「マイナンバーについて ガイドライン Q&A(回答)Q1-8」には、おおむね次のように記されています。
支払調書については、支払金額が所管法令の規定する一定の金額未満である場合、税務署長に提出する必要がないとされているものが存在します。支払金額がその一定の金額未満であって提出義務を負わない支払調書にマイナンバーを記して税務署長への提出を行うことは、目的外の利用として利用制限に反するでしょうか?
→支払金額が所管法令の規定する一定の金額未満であって税務署長に提出する必要がないとされている支払調書についても、提出することが禁止されているわけではなく、支払調書であることに変わりはないと解されます。したがって、支払調書作成事務のためにマイナンバーの提供を受けている場合、それを税務署長に提出する場合でも利用目的の範囲内としてマイナンバーを用いることが可能です。

 このように、提出不要な支払調書にマイナンバーを記して税務署長に提出した場合にも、目的外の利用として利用制限に反するというわけではありません。しかし、提出不要な金額の分までマイナンバーを管理する必要が生じ、多数のマイナンバーを取り扱えば漏えいリスクが増すこととなります。したがって、利用制限に反しなくても、提出不要な金額の分については支払調書を作成することは避けるのが無難です。

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