マイナンバー「どうやって?」

マイナンバー制度に対応するため、就業規則をどのように改訂すればいいでしょうか?

マイナンバー制度に対応するため、就業規則の一部を次のように定めればいいと考えられます。

(採用時の提出書類)
第X条 労働者として採用された者は、採用された日よりX週間以内に次に掲げる書類を提出しなければならない。
 (1)履歴書
 (2)住民票記載事項証明書
 (3)自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
 (4)資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
 (5)個人番号カードの写し
 (6)その他会社が指定するもの
2. 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更事項を届け出なければならない。
3. 会社は、労働者として採用された者及び労働者に対して、第1項各号の書類の受領より以前に、同書類の提出目的につき、説明及び通知を行うものとする。

(採用決定時の提出書類及び個人情報の利用目的)←上記「採用時の提出書類」より詳細な案です。
第X条 会社は就職を希望する者の中より、選考試験に合格し、所定の手続を経た者を従業員として採用する。
2. 従業員は採用の際に、次に掲げる書類を提出しなければならない。
 (1)履歴書(3カ月以内の写真を添付)、職務経歴書
 (2)健康診断書
 (3)源泉徴収票(暦年内に前職のある者に限る。)
 (4)年金手帳、雇用保険被保険者証(所持者に限る。)
(5)必要により、自動車運転免許証の写し、住民票記載事項証明書、資格証明書の写し、学業成績証明書の写し、卒業証明書の写し
 (6)個人番号カード又は通知カード(提示での代替可能)
 (7)その他会社が必要と認めたもの
3. 在職中に、上記提出書類の記載事項で、個人番号、氏名、現住所、家族の状況等に異動があった場合には速やかに会社への申告を行うこと。
4. 第2項の規定に基づいて会社に提出された書類(第6号の個人番号カード又は通知カードを除く)は、次に掲げる目的のために利用する。
 (1)~(11)<省略>
5. 第2項第6号で取得する個人番号は、次に掲げる目的のために利用する。
 (1)給与所得・退職所得の源泉徴収票作成事務
 (2)雇用保険届出義事務
 (3)健康保険・厚生年金保険届出事務
 (4)国民年金の第3号被保険者の届出に関する事務

(人事異動)
第X条 会社は、業務上必要がある場合、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。
2. 会社は、業務上必要がある場合、労働者を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。
3. 前2項の場合には、労働者は正当な理由なしにこれを拒むことはできず、そのときには、法令及び会社の指示に従い、自己が保有する情報(特定個人情報を含む)の引継ぎを行う。

(遵守事項)
第X条 労働者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
 (1)~(5)<省略>
 (6)会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと
 (7)在職中及び退職後に、業務上知り得た会社・取引先等の機密を漏えいしないこと
 (8)特定個人情報及び個人情報の取扱いについては、番号法及び別途当社が制定する番号法に関する規程に従う。←別途、特定個人情報に関する規程の制定を前提にしています。
 (9)その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと

(特定個人情報並びに個人情報の保護)
第X条 動労者は、会社及び取引先等に関する情報の管理に十分十位を払うとともに、自己の業務に無関係な特定個人情報及び個人情報を不当に取得してはならない。
2. 労働者は、職務上知り得た特定個人情報及び個人情報を、職務の範囲を超えて、社内外を問わず他人に提示・利用・提供させてはならない。
3. 労働者は、職場又は職種を異動あるいは退職するに際して、自己が管理していた会社及び取引先等に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなければならない。←人事異動の規程との整合性を検討する必要があります。異動又は退職のいずれかだけにすることも考えられます。
4. 労働者、使用者ともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律や個人情報保護法、その政令・省令・ガイドラインにより定められた規定に従い、厳粛に特定個人情報及び個人情報を取り扱うものとする。
5. 特定個人情報取扱規程を別途定めるものとする。

(解雇)
第X条 労働者が次のいずれかに該当するときには、解雇することがある。
 (1)勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき
 (2)会社の管理する顧客・従業員等の特定個人情報を、故意に又は重大な過失により漏えい・流出させたとき←解雇だけでなく懲戒の全てについて、このように定めることも選択肢の一つです。
 (3)~(8) <省略>
 (9)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき

(損害賠償)
第X条 従業員が故意又は過失により会社に損害を与えたときには、会社は従業員にその損害を賠償させることがある。また、従業員が損害を賠償しても、会社は原則として懲戒規程に基づき懲戒などを行うものとする。
2. 従業員が取引先に損害を与えたときには、従業員にその損害を賠償させることがある。
3. 従業員の損害賠償の義務は、退職又は解雇後も、免責又は軽減されるものではない。

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