A.医療法人において、雇い入れの日から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上の出勤をしている労働者には、その労働者が正社員であってもパートタイマー等であっても年次有給休暇を与えることが必要です。個人経営の診療所においても、同様のことがいえます。
1.年次有給休暇を取得した者に不利益な扱いをすることの禁止
職場の雰囲気や環境を考えると有給休暇を取りづらい場合もあるということは、珍しくないのが現状です。そのような中で、有給休暇の取得者が不利益な扱いをされることがありますが、有給休暇取得者に不利益な扱いをしてはならないとされています。
使用者は有給休暇を取る権利を権利として認め、一方、労働者は状況に配慮することで、バランスのいい職場となるでしょう。
2.年次有給休暇の時季変更権
年次有給休暇は原則として労働者が請求した時季に与えるものの、そのことで事業の正常な運営の妨げられるなら、使用者には他の時季に有給休暇を与えることができます。この権利を年次有給休暇の時季変更権と呼びます。
ただし、この権利は、同じ時季に請求が集中した場合等に限って行使できます。合理的な理由がない限り、年次有給休暇を与えることが必要であると解するのがいいと思われます。
3.年次有給休暇の計画的付与制度
年次有給休暇の計画的付与制度とは、労働者の年次有給休暇の日数のうち5日を除いた残りの部分につき、労使協定を結ぶと、休暇取得日を計画的に割り振ることができる制度です。
この年次有給休暇の計画的付与制度の導入のためには、就業規則に規定することと、労使協定を締結することが必要です。しかしながら、労働基準監督署への届出は必要ありません。
年次有給休暇の付与の方法としては、班・グループ別に交代で付与する方法、事業場の全員に対して同じ日に付与する方法、個人ごとに計画的に付与する方法等が挙げられます。