会社設立と労務管理

Q.会社を設立し、社員は社会保険に加入させていますが、パートタイマーは加入させていません。雇用保険についても同様ですが、問題ありませんか?

A.パートタイマーであっても、適用の条件に該当するのであれば、アルバイトやパートタイマーといった名称や本人の希望とは関係なく、社会保険や雇用保険の被保険者となります。

1.社会保険
(1)加入義務
法人の場合は健康保険及び厚生年金保険(「社会保険」といいます。以下同じです)に加入しなければなりません。
適用事業所に常時雇用される人全てが、社会保険の被保険者となります。賃金の額や国籍、性別は無関係です。ただ、70歳以上の人は、健康保険のみの被保険者となるのが原則です。
 (2)アルバイトやパートタイマー
アルバイトやパートタイマーは、同一の事務所で働いている一般の社員の労働時間や労働日数といったものを基に判断を行い、次のいずれの条件にも該当すれば、被保険者とされます。
・1日か1週間の所定労働時間が、一般社員の約4分の3以上であること。
・1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の約4分の3以上であること。
  ただ、上記の基準は一つの目安に過ぎず、この条件に該当しなくても、総合的に就労状況を判断した上で被保険者とされるケースも見受けられます。
  なお、社会保険が適用される条件に該当する人を雇用した場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を5日以内に所轄の年金事務所に対して提出することになります。
(3)被保険者にならない人
適用事務所に雇用されても、次の人は被保険者にはなりません。
・臨時に日々雇い入れられて、1ヶ月を超過しない人
・2ヶ月以内の期間を定めて使用される人
・4ヶ月を超過しない季節的業務に使用される人
・臨時的事業の事業所に6ヶ月を超過しない期間使用される人
・所在地の場所が一定しない事業に使用される人

2.雇用保険
 (1)アルバイトやパートタイマー
  次のいずれの条件にも該当すれば、被保険者とされるのが原則です。
 ・31日以上の雇用見込みがあること。
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  なお、雇用保険の被保険者となる条件に該当する人を雇った場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を入社日の属する月の翌月10日までに所轄の公共職業安定所に対して提出することになります。
 (2)被保険者にならない人
  労働者が次に当てはまる場合、被保険者にはなりません。
・法人の代表取締役、同居の親族
・法人の取締役や監査役
・65歳に達した日以後に新たに雇い入れられる人
・昼間学生
・1週間の所定労働時間が20時間を下回る人
・入社後継続して31日以上雇用される見込みがない人(以後31日以上雇用されることが見込まれる場合は、その時点より適用されます。)
・短時間労働者で季節的に雇用される人、4ヶ月以内の季節的事業に雇用される人
・国、都道府県、市町村等の事業に雇用される人
・船員保険の被保険者

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