医院の労務管理と労働基準法

妻に給与を払うことは可能か?

生計を一にしている配偶者やその他の親族が診療所経営に従事した際に、支払われる給与は原則的に必要経費にはなりません。ただし、青色申告者のときには配偶者やその他の親族を青色事業専従者として届出を出すことで、必要経費に入れることが可能となっています。専従者給与の要件は以下のようになっています。
 ・青色申告者と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
 ・その年の12月31日現在で15歳以上であること
 ・その年を通じて6か月を超過する期間その青色申告者の営む事業に従事していること(一定の際には事業に従事することが可能な期間の2分の1を超過する期間従事すること)
 ・青色申告専従者の届出を支給する年の3月15日までに提出していること(新規開業のときには開始してから2か月までに提出)
青色専従者に支給する金額は所得税法では、その労働の対価として相当な金額であることとあいまいな表現になっています。金額に妥当性を持たせるためには次の点に注意して支給額を決定しましょう。
 ・勤務実態や執務内容を考慮した適正な額であること
 ・専従者の年齢や資格、従事期間に見合った額であること
 ・支給額がほかのスタッフと比較して著しく高くないこと
 ・同規模の医院と比べて著しく高くないこと
一般的に専従者給与は他のスタッフと比較すると、通常の勤務のほかに給与計算や会計業務の記帳、医院の資金操り等をおこなうことから高額になることもあります。この際には、タイムレコーダー等によって出勤確認をするのはもちろん、業務内容を明らかにするため業務日誌の記入や会計帳簿の記帳をおこなっていれば、その筆跡から本人の確認もおこなうことができ、税務調査があったときには勤務実態を証明するための重要な資料になります。

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